20/01/2026
|新刊発売のお知らせ|
麻生要一郎として、はじめての自伝&食エッセイ「酸いも、甘いも。あの人がいた食卓 1977-2025」を新年1月14日にオレンジページより上梓します。
食べることは生きることであり、人との思い出を作ること。食卓を中心に人生を振り返りました。家業の継承放棄、両親との死別、高齢姉妹との養子縁組、新たな “ 家族 ” と囲む日々の食卓…酸いも甘いも、全ては人生の調味料。この本が、誰かの人生の道しるべになりますように。
HADEN BOOKS:STORES
https://www.hadenbooks.stores.jp/
□ 2026年 1月14日 発売
『酸いも、甘いも。
あの人がいた食卓 1977-2025』麻生要一郎
単行本|ソフトカバー|日本語|228ページ
サイズ|縦18.8 x 横12.8 x 厚さ1.5 cm(四六判)
定価 1,980円(本体 1,800円+税)
|主な内容|
□ はじめに
紀尾井町にある馴染みのカフェAUX BACCHANALES(オー バカナル)で、この “はじめに”を書き始めた。
先週、家を空けていたので家にいると家事に追われて、いつにも増して集中力に欠けるので、場所を変えてと思い立った。街路樹が色づいた気持ちの良い、テラス席に腰を下ろす。いつもの粋なギャルソンが、「お食事は?」と声をかけてくれた。「お茶だけで」と答えたが、隣のテーブルのグラタン皿に目を奪われた。器の中が、やけに黄色く見えたのである。その視線を察したように、彼はメニューを「一応」と差し出した。“ホタテとアサリ、かぼちゃのグラタン”。最近、自分だけの時間を取れていなかったから、1人でのんびり過ごそうかと、予定を変えてグラタンを注文する。
やがて香ばしい焼き色の “ 黄色いグラタン ”が運ばれてきた。添えられていたバゲットをちぎると、パン屑が床へ落ちる。ふと足元に目をやれば、スズメが一羽、音もなく近づいてきて、パン屑をついばんでいた。気がつけばもう一羽、また一羽と増えて、1人時間だったはずが、小さなスズメの群れと一緒に食卓を囲んでいるようだった。そのうちに、スズメの警戒心もなくなって、テーブルの上にとまり首を傾かしげるような仕草で、こちらをじっと眺めていた。パンに手を伸ばすと、近くの枝へと飛び移った。飛び立つ瞬間、スズメの眼差しに誰かの面影を感じた。今のは誰だったのだろう? それは亡くなった母かもしれないし、高齢姉妹の妹だったかもしれない。グラタンの湯気の向こう側に、懐かしい食卓の情景が浮かぶ。
急いで夕食の買い物をして家に帰ると、食卓の椅子で愛猫チョビが眩しい夕陽の中で丸くなり眠っていた。「今夜はお刺身、一緒に食べようね」と言うと、ニャアと返事をしてくれた。この本が、誰かの人生の道しるべになりますように。
□ 建設会社の跡取りに生まれて
・カンコンばあばの炒飯
・剣道の合宿とカニクリームコロッケ
□ 父の早逝
・ずっと食べられなかったみかん
・母に伝えた切昆布の煮物
□ 家業継承の放棄、新島の宿
・カフェの定番はドライカレー
・フレンチトーストが名物だった宿
□ 母の看取り、千駄ヶ谷の新居
・母と作った春のちらし寿司
・朝食のパンとコーヒー
・おにぎりが小さく握れない
□ 麻生要一郎となる
・姉の冷やし中華のある夏
・豚の昆布巻きは歳末の味
□ 高齢姉妹の息子として
・命懸けの塩鰤
・お弁当が繫いでくれたご縁
□ 昔も、今も、これからも。
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酸いも、甘いも。
あの人がいた食卓 1977-2025
著者|麻生要一郎
デザイン|白い立体
撮影|小島沙緒理
編集協力|盛岡洋子
編集担当|今田光子
出版社|オレンジページ
本作は、ウェルビーイング100 by オレンジページ https://www.wellbeing100.jp/ の連載「酸いも甘いも〜僕の自伝的たべもの回想〜」 (2024年8月〜2025年9月)に、新規原稿を追加し構成したものです。
麻生要一郎
あそう・よういちろう
料理家・文筆家。家庭的な味わいのお弁当やケータリングが評判になり、日々の食事を記録したInstagramでも多くのフォロワーを獲得。料理家として活躍する一方、自らの経験を綴ったエッセイ&レシピ『僕の献立 本日もお疲れ様でした』『僕のいたわり飯』『365 僕のたべもの日記』 (いずれも光文社)を刊行。近著に『僕が食べてきた思い出、忘れられない味 私的名店案内22』(オレンジページ )がある。