16/05/2013
一見、落書きのようにも見えるへろへろな線、トーンも駆使せず、手書きかベタ塗り。外枠もゆるゆる。背景も必要最小限。そんな一般的なマンガとは(文字どおり)一線かけはなれた脱力感のあるタッチを逆手に取った、シュールで、ややもすればナンセンスですらあるオフビートな笑いを引き込ませる、コマ割りというなんとも言えない“間”に、すごいセンスを感じさせます。
本作『音楽と漫画』は大橋裕之の初の単行本です。
スキンヘッドにヒゲを生やした風貌の不良の研二が、同じ不良仲間の太田、朝倉と、後輩からパクってきた楽器(それもなぜかギターはなく、ベース2本と重いからという理由でスネアドラムとフロアタムしかないドラム)で暇だからと結成。町内のフェス出場するという表題作「音楽」。
青春+バンドおまけに不良と来るとギラギラした物語をイメージさせますが、ゆるゆるにまるで風景のような余白のある空気感がたまりません。あぁ、青春って弾けるようなものばかりではなく、こういう怠い感じもあるよなって思いました。
表題作「音楽」以外に、年上の同級生が卒業したら山ごもりすると宣言している「山」、外食はラーメンしか食べないというアルバイトの女性の先輩との交流を描く「ラーメン」、温泉すら潰れた田舎を訪れる漫画家の不思議な顛末を描いた「漫画」をまとめた一冊となっています。
なお、表題作の「音楽」は、ドキュメンタリー監督の松江哲明によるプロデュースでアニメ映画化が進行中だそうです。
http://fussa.underhead.jp/?eid=903203
監督をつとめる岩井澤健治監督の作品がYouTubeで観れますが、かなり凄いです。
http://youtu.be/1_Rj2s0dFfY
「音楽」とは非対称(失礼!)な緻密な描き込みに思わず観入ってしまいます。
大橋裕之作品をどういうふうに表現するか楽しみです。(森林)